終わりのない話

昨日のわたしと明日のきみが出会う話

新婚とルー料理

「新婚生活はどうよ」

「まあ、ドキドキするよね」

「高血圧?」

「そういうことじゃなくてね」

「求心で済むレベル?」

「いいよもう」

「料理もしてくれるんでしよう?」

「そうなんだよ。奥さん料理得意で」

バカピンクなエプロンとか着けて?」

「悪意ありまくりな言い方だな」

「どんな料理作ってくれるのさ」

「カレーとか」

「貼って寝て気持ちいい、サロンパス的な?」

「なにがだよ」

「切って煮てルー入れて、カレーライスってな」

「リズムしかあってないよ」

「ルー料理は料理と認められないな」

「何様だよ。そしたらシチューもビーフストロガノフもダメかよ」

「なんだよそのダレノガレみたいなやつは。択捉かよ」

「日本だよ。ルーで作るやつだよ。ビーフシチューの仲間だよ」

「じゃあビーフシチューって言えよ」

「奥さんはビーフストロガノフとかハッシュドビーフが好きなんだよ」

「だからそのトリンドルみたいなのチョイチョイ出すなよ」

「ダレノガレもトリンドルも料理じゃねえよ」

「ハヤシライスもだけど、もう違いがわからないじゃん」

「まああれだ。具の大きさとかトマトやサワークリームありなしとか」

「ウィーンで生まれたとかサンパウロで生まれたとか」

「それはダレノガレとかの話だ」

「さらにクレアとかステラおばさんとか出てくるし」

「違う人も入ってきちゃってる」

「シチューはご飯にかけられないからなあ」

「かけるけどね」

「えー。どんな少数民族だよ」

「いやいや、シチューオンライスって商品も出たくらいだぞ」

「オンアイスするのはディズニーだけにしてくれよ」

「なんの話だよ」

「デミグラスなのかドミグラスなのかって話だよ」

「そんな話してないや」